半導体・電子部品メーカーについて

技術の進歩スピードが非常に速いため、需要の変化も激しい業種

半導体・電子部品メーカー系の市場は全体に伸びがあり、分野を問わず業績も好調です。

スマートフォンの需要は普及し始めた2011年ごろに比べ落ち着いていますが、ゲーム機器の売れ行きが良く、部品メーカーの需要がさらに高まっています。自動車に搭載するWi-FiやBluetoothなど、既存製品の電子化・IoT化に伴う需要もまた拡大中です。技術の進歩スピードが非常に速いため、1年~数年という短期間に他をしのぐ巨大な市場ができあがっていくのも半導体・電子部品業界ならではの現状と言えます。このような成長著しい業界が今後も市場拡大を図るためには、いち早く新しい視点を取り入れることが必要です。

2017年時点の動向を踏まえ、今後につながる課題・展望として、3つのポイントがみえてきています。1つ目は、ASIC事業への対応です。各業界のメーカーが、高速かつ省電力で処理を行うAI(人工知能)チップの開発に乗り出しており、その過程で集積回路の一種・ASICに再注目しています。ASICはかつて国内メーカーもビジネスに取り入れていたものの、労力と利益が見合わず多くが事業から撤退していました。今度はAIチップの高速化に活用しようとの動きがみられており、今後生産体制の需要が見込まれています。2つ目は、同業他社の生産力への注視です。一部のサプライチェーンが停止し部品が揃わなくなると、機器の生産がストップするだけでなく、機器に関わる他の部品メーカーも納品できず共倒れになってしまいます。こうした事態に備えて代替部品の製造を検討するなど、各メーカーは事業の幅を広げる必要性があります。3つ目は、BtoB機器の生産に伴う部品供給体制の整備です。コストが抑えられる海外拠点での生産が主流であるとはいえ、産業用ロボット・半導体製造装置など国内生産を行う付加価値の高い機器も存在しています。この場合には量産型でなく、質の高い部品を少量ずつ供給するというスタイルが最適です。そのため、部品メーカーはただ製造・供給を行うだけでなく、用途に応じた体制を整えることが今後必要となっていくと考えられます。