医療機器メーカーについて

高齢化が進み、予防治療や福祉向けの医療機器などの需要拡大している業種

厚生労働省の調査によると、国内医療機器メーカー系の2015年の市場は2兆6,848億円で、前年比3.6%減となりました。その後2016年は2兆7,277億円となり、2017年は2兆8,057億円と増加傾向にあります。2020年には3兆円にまで拡大する見込みです。

高齢化が進み、予防治療や福祉向けの医療機器などの需要拡大できる医療機器メーカー系は、成長傾向にあると言えるでしょう。高齢化を受けて社会保障給付費は増加し、2016年度には118兆円を上回りました。厚生労働省によると、医療給付費も現在の36兆円ほどから2025年度には54兆円へと大幅増加する見通しです。しかしながら、医療費の抑制政策の動きにより医療機関は経営悪化に直面しています。病院や診療所などの数も減ってきており、厚生労働省のまとめによると1993年は9,844施設あった病院数も、2017年には8,430ほどに縮小しました。こうした背景をみると、今後医療機器メーカー系が国内市場で成長し続けることは極めて難しいと考えてもおかしくありません。みずほ銀行産業調査部によると、現在医療機器メーカー系のグローバル市場においては、アメリカがトップで日本は2位です。2位とは言えアメリカの1,459億ドルに対し日本は281億ドルと大差をつけられており、3位のドイツとはたった36億円しか差がありません。国際競争にどう打ち勝つか、欧米企業にどこまで追いつけるかが課題と言えるでしょう。そこで注目されているのが新興国市場です。急成長を続ける中国やインドなどへの展開に期待されています。

医療機器は大きく4つに分けられる中で日本は診療機器が強いと言われており、特に内視鏡においてはNEDOの資料によると99.1%と圧倒的なシェアを誇っています。しかし治療機器分野は人工腎臓装置でかろうじて34.8%を確保するも、それ以外ではほぼシェアがない状態です。そこで注目すべきが、ITと他業界との連携です。AIを用いた診断・解析や、IoTを駆使した医療データ可視化への研究開発が進められています。そのために必要な技術や研究機関と連携した動きも高まっています。今後は業界の垣根を超え、新しい技術の開発への取り組みが一層加速するでしょう。