精密・計測機器メーカーについて

技術力だけでなく、他分野の事業参入等、発想力が求められる業種

精密機器・計測機器メーカー系は複数の分野に分かれ、そのうち医療機器の分野は高齢化の影響で業界規模が拡大しています。医療の水準が上がるにつれ医療機器の需要が高まり、キヤノン株式会社や株式会社ニコン、株式会社リコーなど複数の精密機器メーカーが医療分野へ本格参入しました。計測機器の分野も、景気の回復に伴い着実に規模は拡大しています。一方で、スマホの台頭により苦戦を強いられているのが、カメラ関連分野です。これまでカメラ関連の事業を柱としてきたメーカーは、高い技術力を他分野へ応用することにより事業の多角化を行い、収益を確保しなければなりません。キヤノン株式会社では企業向けの産業機器に注力しAIの流れに乗ることで、株式会社ニコンでは半導体の装置や顕微鏡を開発生産することで生き残りを図っています。そして、バブル崩壊後より規模が縮小していた時計分野は、業績に回復の兆しがみえてきました。景気が回復し、嗜好品である時計の需要が高まったことが要因です。しかし、これ以上の大幅な需要拡大はあまり見込めません。そのため、新たな商品を開発したり海外にプロモーションを行ったりすることが今後の課題です。

日本国外へのアピールがカギを握るという点では、時計分野だけでなく精密機器メーカー全体に言えます。高齢化が深刻化しているのは日本だけではないため、医療施設は今後も先進国を中心に世界的に増加する見込みです。東京オリンピックも重なり、日本の精密機器メーカーが持つ高い技術力がさらに海外から注目されるでしょう。ただし、カメラや時計分野の例からもわかるように、職人技術を要するものづくりだけで今後生き残り続けることは簡単ではありません。好調な傾向にあるために業界内での競争は不可避で、それぞれの会社が自社の強みを打ち出す必要があります。そのためには、技術力だけでなく、他分野の事業へ参入したり新たなアイデアを提案したりといった、柔軟性や発想力が求められる業界です。