総合電機メーカーについて

市場シェアが変化し、海外企業との売却・買収が活発化する業種

自分の作った木製品が人々の生活を豊かにする。木材・木製品製造業は、そのようなやりがいのある仕事です。その反面、木製品の加工には大型工作機械などを使用するため、常に危険と背中合わせともいえます。そのため、慎重に仕事に向かう姿勢が求められる業界です。

総合電機メーカー系は報道機関でよく使われる言葉で、日立製作所、三菱電機、東芝の3社を表します。これらは重電事業や家電製品、電子部品、産業用機器からITサービスなど総合的に取り扱っている企業です。企業の有価証券報告書をもとに調査する業界動向サーチによると、2015~2016年度の業界規模は83兆8,018億円といわれており他の業界と比べて圧倒的な市場規模を誇ります。共通して言える課題は、海外市場の影響にどう対応するかではないでしょうか。2015年度の売上高をみると重電や時計で増加した一方で、家電やOA機器、半導体分野においてはマイナスとなっています。かつては精密な技術と質の高さで世界のトップクラスに君臨していた日本製の家電製品ですが、サムスンやLGなど韓国企業の追撃や中国企業の勃興により、大きく売り上げを落としているのが現状です。特に大量生産を強みとする中国企業の進出は勢いがあり、スマートフォンや白物家電分野においても中国が世界にシェアを広げてきました。また総合電機メーカー系の1つである東芝では、2015年に不正会計問題、2016年末には原発の巨額損失問題と相次いで不祥事が発覚していることも赤字から抜け出せない要因です。稼ぎ頭であった東芝メモリの売却契約や事業の推進体制刷新など再建に取り組んでいるものの、急成長のカギとなるような収益確保が求められています。

生産量では中国に勝てない今、日本の総合電機メーカーに求められるものはAI(人工知能)を応用したビジネスです。AIの導入は欧米に先を越されている形でしたが、日本の総合電機メーカー系も取り組みに力を入れ始めました。東芝はAI連携研究の拠点を理化学研究所に開設し、三菱電機は産業ロボットにAIを搭載する技術に着手しています。日立製作所は、2017~2018年度で総額1兆円をM&Aに投資することを発表しました。IoT分野の海外企業を買収し、AIで先行する欧米各国の競合とシェアを争える収益体質を築くことが目的です。こうした動きによって人材確保も必要になってきており、再び世界のトップに返り咲くことが期待されます。