通信について

市場が落ち着いたため、新しいビジネスモデル構築が必要な業種

通信系の業種は、携帯電話関連の通信キャリア(通信業)とテレビ番組を提供するテレビ・放送業界(放送業)に分かれています。

携帯電話を持ち歩く人が多い現代においては、通信業のサービス提供が欠かせません。携帯電話同士やパソコンとの通信など、端末間のデータ送受信を行うインフラ整備が通信業の主要事業です。放送業では、テレビ局と家庭や施設に設置されているテレビとの間でデータ交換を行い、利用者が視聴できる環境を整えることが主要事業です。

総務省の基本データと政策動向によると、2011年度から2015年度の電気通信事業における推移はほぼ横ばい状態になっています。2015年度の売上高は約140.3億円で、過去5年間の中では最大値です。2013年以降の市場規模拡大にはスマートフォンの普及が関連していますが、現在はスマートフォン需要が一旦落ち着いた状況にあります。今後の爆発的な需要の伸びが見込めない現状を考えると、業界全体の伸び悩みが予想されます。

需要の伸びが課題とされる一方で、今後の需要拡大に影響を及ぼすと考えられるのは格安スマホです。月額料金を低価格に抑えられることを武器に、イオン、楽天、ヨドバシカメラなどの大手企業から発売されています。携帯電話料金の高さを感じる利用者をターゲットに、今後さらなる需要拡大が予想されるでしょう。

通信系の業界では、通信業の新規ユーザー獲得の難しさと、放送業の広告収入減少が課題です。通信業においては事業の柱となる固定電話の需要が減り、携帯電話が通信手段のメインとなっています。携帯電話は通信キャリアの乗り換えはあるものの、多くの人々が携帯電話を持ち歩く現代では純粋な新規利用者獲得は難しいと言えます。放送業に関しても、新たな収益源となるビジネスモデル構築が求められることが課題です。

業界全体の展望としては、IT化に乗り遅れず、最新のテクノロジーを導入したサービスや価値観を提供することが、今後の市場規模拡大につながると予想されます。