鉄鋼・金属メーカーについて
新興国の技術力や生産能力は年々向上しているため、新興国の追い上げが課題の業種
平成27年に経済産業省が発表した「鉄鋼の現状と課題」では、鉄鋼・金属メーカー系の中で鉄鋼の国内総出荷額は2012年で18兆円、鉄鋼関連企業の従業員は22万人となっています。
鉄鋼は日本の基幹産業の1つとなっています。電子部品や電子機器の輸出が伸び悩む中で、鉄鋼の輸出における割合は年々増加傾向です。鉄鋼の需要は今後も継続的に続くと考えられますが、鉄にさらに付加価値の伴った商品が求められるなど、ニーズの多様化も進んでいます。具体的には、世界の自動車や建設メーカーかなどから、鉄と他の金属もしくは、鉄とプラスチックなどの融合が求められている状況です。ニーズに対して、韓国の鉄鋼会社では研究開発費を増加し、中国においては高機能素材の生産能力を増強させるなど、新興国からの追い上げが課題となっています。
ニーズの多様化と海外勢の課題に対して日本では、異素材分野での研究開発の基盤を整備し、国内の鉄や金属における製造を強化するとしています。もう1つの課題は、世界各高炉メーカーの粗鋼生産能力の向上により、鉄鋼の需要に対して過剰供給であることです。課題に基づいて、粗鋼を生産する世界各国の高炉メーカーでは、台湾や中国などのアジア市場での今後の鉄鋼需要を見込んで、アジア各地で高炉の建設を行っています。一方、日本ではアジアでの高炉建設を行うのではなく、別の視点から過剰供給における対応策を取っています。具体的には、過剰供給の粗鋼生産からシフトチェンジし、鋼材などの最終製品に近いものを供給するために、冷延やめっきなどの下工程のプラントを建設中です。
その他にも、粗鋼の生産拠点の集約化を行うことで、プラント設備の強化にも努めています。今後は世界の競合他社が下工程に関する市場に参入してきた場合、市場の獲得競争が激化する可能性が考えられます。また、新興国の技術力や生産能力は年々スピードアップしているため、日本は研究開発や生産力の強化において、さらなるスピード化が求められるでしょう。
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