重電・産業用機器メーカーについて
人件費の上昇傾向により、世界各地でFAの需要が拡大する業種
発電・工業・商業施設等で用いられる大型の重電機器を扱う重電・産業用電気機器メーカー系は、日立製作所、三菱電機、東芝、富士電機、明電舎の5社が特に業界内で高いシェア率を誇っています。業界規模は、中国やアジアを中心とした新興国の急速なインフラ整備により輸出が拡大したことを受け、2007年までは上向きでした。しかし2008年、アメリカの金融危機を受けて円高が加速し、海外の需要が減少し損益が発生してしまったことで重電・産業用電気機器業界の成長は横ばいの状態になりました。しかしながら国内経済においては、2012年ごろより円安とそれによる株高のため緩やかに回復をしています。
近年国内における重電・産業用電気機器の需要は減少の傾向にあり、今後業界規模の大きな拡大が国内では期待できません。そのため大手重電・産業用電気機器メーカー各社は、事業を海外に向けて強化する取り組みを課題としています。その動きは2006年ごろからみられ、まず東芝がイギリスのウェルチングハウスを買収したことを皮切りに、三菱重工業、日立製作所も海外企業との業務提携をしています。2013年、IHIがインドでのLNG貯蔵タンクの建設を受注し、翌年にはインド国内でのシェアを7割にまで拡大させるなど、海外事業の拡大とそれに向けた再編は、重電業界の存続と発展のために今後も業界各社の課題となっていくでしょう。国内での需要が伸び悩んでいる背景もあり、今後も重電・産業用電気機器メーカー系の海外事業の拡大や推進を勧める動きは、継続してみられると思われます。大手3社の今後の展望に注目してみると、東芝は重電分野において原子力事業で多額の負債を抱えていますが、火力・水力などの送配電設備の開発や、次世代エネルギーの開発も視野に入れているとのことです。日立製作所はアジアにおける新興国への海外事業の強化はもちろん、北米への事業参入が予定されるなど新興国以外への事業拡大が期待されます。三菱電機は新しい技術に対しての投資を積極的に行うとの発表があり、ファクトリーオートメーションの需要拡大により、重電の分野に限らない多角的な事業展開が見込まれます。
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